終活

終末期の迎え方・自分の気持ちを家族に伝える終活のメリット

自分の命の終わりが見えてきたとき…医療の効果が見込めず、余命が数ヶ月以内と判断された時期を「終末期」といいます。

病気・障がい・老衰など、終末期を迎える理由はさまざまですが、延命治療をせずにQOL(生活の質)の維持向上を目的とする処置を望んだ場合、最期の時を迎える準備をしなければいけません。

終末期(ターミナルケア)とはどんなものか、終末期をどのように過ごしたいのかなど、知っておきたい情報はたくさんあります。

本記事では終末期(ターミナルケア)に関する基本的な知識と、終活を行うメリットについて詳しくご紹介します。

終末期(ターミナルケア)とは

終末期(ターミナルケア)とは、重篤な疾患や末期の疾患を持つ患者に提供される医療ケアのことです。

社団法人全日本病院協の発表した終末期医療に関するガイドラインでは、終末期を下記のように定義しています。

●医師が客観的な情報を基に、治療により病気の回復が期待できないと判断すること
●患者が意識や判断力を失った場合を除き、患者・家族・医師・看護師等の関係者が納得すること
●患者・家族・医師・看護師等の関係者が死を予測し対応を考えること
引用:終末期医療に関するガイドライン|社団法人 全日本病院協会

終末期(ターミナルケア)は、患者が治療できないほど進行した状態にある場合や、余命が限られている場合に焦点を当てていて、患者が最も快適で尊厳ある状態で最期を迎えることを支援します。

終末期のケアを受けられる場所

終末期(ターミナルケア)を受けることができる場所は、主に3ヶ所あります。

  • 自宅
  • 病院
  • 介護施設

どの場所でターミナルケアを受けるかは、患者や家族の希望・医療状況・医師のアドバイスに基づいて決定されるのが一般的です。

ターミナルケアの目的は、患者が最も快適で尊厳ある状態で最期を迎えることなので、選択された場所は患者の個別のニーズに合わせて調整されます。

それぞれどんな特徴があるのか、ご紹介しましょう。

自宅

自宅でのターミナルケアは、専門家や看護師が家庭を訪問し、必要な医療ケアや支援を提供します。

患者にとって最も快適な環境で最期を迎えることができるメリットがあります。

しかし病院で行われる吸引や褥瘡予防などのケアを、家族が負担しなければいけない面もあり、身体的・精神的な負担を与えてしまうことがデメリットと言えるでしょう。

病院

病院は高度な医療ケアが利用できる場所であり、急な合併症や症状の管理が必要な場合に安心です。

病院のホスピスユニット(緩和ケア病棟など)も一般的にターミナルケアを提供しています。

専門家が常駐している安心感や急変時に適切な処理をしてもらえるメリットがある反面、費用がかかるため経済的負担が大きくなるというデメリットもあります。

介護施設

一部の介護施設は、ターミナルケアを必要とする入居者に対して特別なケアを提供してくれます。

介護施設でのターミナルケアは、患者の身体的なニーズに合わせてカスタマイズされ、介護士が充実したサポートを行ってくれることがメリットです。

家族との面会時間が限られていることや、費用面での負担が大きくなることがデメリットと言えます。

自分の終末期をどうしたいか?を考える

病気など身体的な状況によっては医師の指示に従わなければいけないこともありますが、自分が最後の時をどこで迎えたいのかということは、元気なうちに考えておきたい事の一つです。

自分が万が一、余命宣告をされてターミナルケアを受けることになった場合はどうしたいのか…終活の目的でもある『自分らしい最期』について考えてみましょう。

終活で活用したいエンディングノート

終活でぜひ活用したいのは、エンディングノートです。

エンディングノートに記載する項目は複数あります。

  • 基本情報(氏名・生年月日・連絡先情報など)
  • 遺言(遺言の文言・遺言執行者の指名・財産分配に関する詳細など)
  • 医療に関する希望(望ましい医療処置に関する意思表明・終末期の痛みの管理に関する希望など)
  • 葬儀・埋葬に関する希望(葬儀の形式・葬儀や告別式の希望場所や日程・埋葬地の指定・葬儀や告別式に関する具体的な希望や要望など)
  • 遺産に関する情報(口座情報・借金や債務に関する情報・SNSのアカウント・サブスクの契約情報など)
  • その他(個別の遺言やメッセージ・葬儀に参加してほしい人や連絡先・ペットのケアに関する指示など)

すべてを一から作成するのは非常に大変です。

近年では市販品でエンディングノートが販売されていたり、無料でエンディングノートがもらえるイベントなどがあります。

既製品であれば、指定された項目に記載するだけなので、簡単に作成することが可能。

特に延命処置などの医療に関する希望や、葬儀・お墓などに関する情報については、しっかりと伝えなければいけません。

費用・家族構成・住居の環境がポイント

終末期を迎える場所をどこにするのか…考えるときのポイントは3つあります。

  • 費用
  • 家族構成
  • 住居

費用

終末期(ターミナルケア)を過ごす場所や病状によっては、経済的な負担が大きくなることもあります。

自身の貯蓄や財産などでカバーできるのであれば問題はありませんが、家族に負担をお願いしなければいけない場合は、費用面をしっかりとリサーチし、どの程度の費用がかかるのかを知っておくことが大切です。

一般的には、病院で医療的なケアを受けるケースが一番高額な費用が発生します。

医師の判断によっては病院でのケアをしなければいけないこともあるため、高額医療費制度や限度額適用認定証などを準備しておくことも大切です。

家族構成

家族構成も終末期を考える際に重要なポイントになります。

  • パートナーの有無
  • 子どもの有無
  • 親戚との距離感
  • 家族との関係性

などは、人それぞれ異なります。

自分の状況をしっかりと理解し、どこでターミナルケアを受けるのが一番良いのかを考えてみましょう。

遠方に家族がいる方、パートナーがすでに他界している方、親戚とのお付き合いが疎遠な方などの場合は、介護保険制度の利用が最優先になります。

自分の介護をお願いできる家族がいるか…お互いの状況も踏まえた上で検討しなければいけません。

住居

自分の住んでいる住居が、介護やターミナルケアを受けるのに適しているかどうかも判断ポイントの一つです。

介護用ベッドや医療機器などを置けるスペースがあるかなど、個々によって異なる住宅事情を把握しなければいけません。

また家族との同居の場合は、自宅でターミナルケアを行うことで負担がかかってしまう場合があります。

自分の希望を優先することはもちろんですが、住居の事情によっては自宅でのターミナルケアが難しいこともあるので、冷静に判断を下しましょう。

希望や感謝を家族に伝える目的も

終活には、自分の希望や感謝を家族に伝える目的も含まれています。

直接伝えることが難しい場合は、エンディングノートに書きこんでおくなどの方法をとりましょう。

病状が悪化してからではうまく伝えられなくなってしまいます。

年齢は関係なく、元気なうちに『自分はどうしたいのか』『家族にはどうしてほしいのか』などを書き残しておくことが肝心です。

まとめ

終活には年齢は関係ありません。

まだ若いから…と思っていても、思わぬ大病や事故などを経験してしまうこともあります。

終末期(ターミナルケア)を受ける場所は病院・自宅・介護施設などがあることを念頭に、自分はどうしたいのかという希望をしっかりと持っておくことが大切です。

またその希望がかなえられるのかどうかを判断しなければいけません。

この記事で紹介したポイントを踏まえて、エンディングノートをはじめとした終活を行っておくことをおすすめします。