できることなら、いつまでも『自宅で住みたい』という気持ちは変わらないと思います。
踏ん切りをつけて施設に入所したとしても、実際に施設生活のなかに入れば、団体生活ということもあり「やっぱり自宅がいいなぁ・・・」と感じる高齢者は少なくはありません。
特養の場合、最期まで支援してくれるのが特徴ですが、『在宅復帰をしてはならない』という決まりはなく、諸条件が整っていれば家庭で介護することも出来るのです。
これが特養でなく、リハビリ施設である『老健』であればなおさら在宅復帰できる可能性は高くなるでしょう。
とは言っても、在宅復帰してこれまでの同じように家庭で生活することは簡単なことではありません。
今回は、どのような条件が整えば『在宅復帰』ができるのかをご紹介します。
条件①環境変化の調整をする

施設と家庭では、住環境が全く違います。
・廊下の幅
・風呂の広さ
・手すりの位置
・段差の有無
・駐車スペース
・ベッド
少し考えただけでもこれだけあります。
施設で慣れて使用していたものをそのまま家庭に持ち込むの一つの方法です。
また、コンパクトにする必要がある歩行器などは、作業療法士などに相談するようにしましょう。
住環境に関しては、住宅改修によって整えれば良いでしょう。
住宅改修とは

在宅介護を受ける利用者が、住み慣れた自宅で生活が続けられるように、住宅の改修を行う介護保険サービスです。
利用者だけではなく、周りで支える家族の意見も踏まえて改修計画を立てることを言います。
この介護保険サービスを利用できるのは、要支援1・2または要介護1以上の人になります。
住宅改修の種類

・手すりの設置
・段差の解消
・滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
・引き戸等への扉の取替え
・洋式便器等への便器の取替え
・その他上記の住宅改修に付帯する工事
介護保険制度の住宅改修を利用するには?特徴や費用を解説 (curapis.com)
詳細は上記で確認ができますので、合わせてご覧ください。
福祉用具の貸与・購入
住宅改修と同時に検討しないといけないのが、福祉用具の有効活用です。
こちらも介護保険サービスを利用して使用することができます。
貸与について
利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、指定を受けた事業者が、利用者の心身の状況、希望及びその生活環境等をふまえ、適切な福祉用具を選ぶための援助・取り付け・調整などを行い、福祉用具を貸与(レンタル)します。
福祉用具を利用することで日常生活上の便宜を図り、家族の介護の負担軽減などを目的として実施します。
貸与対象

福祉用具貸与の対象は以下の13品目で、要介護度に応じて違います。
「車いす」
「車いす付属品」
「特殊寝台」
「特殊寝台付属品」
「床ずれ防止用具」
「体位変換器」
「認知症老人徘徊感知器」
「移動用リフト」
は、要支援1・2、要介護1の人は原則保険給付の対象となりません。
また、自動排泄処理装置は要支援1・2、要介護1・2・3の人は原則保険給付の対象となりません。

誰に相談すれば良いか

老健から在宅復帰する場合には、その施設のスタッフがケアマネジャーに対して、どのような点に注意して住環境の整備や福祉用具の活用を行うかを提案してくれます。
そして、ケアマネジャーはそれらの情報を基にそれぞれの専門員(業者)に相談し、場合によってはデモ商品などによってお試しもできます。
条件②リハビリを継続する
施設や病院でリハビリを頑張って、無事自宅に戻れることになったとしても、リハビリは継続しなければなりません。
「リハビリはいつまでやるの?」という声を耳にすることもありますが、結論から言えば一生リハビリを継続する必要があります。
リハビリとは

リハビリテーションの略したもので、語源はラテン語で『本来あるべき状態への回復。権利の回復、復権。教会からの破門の取り消し。』等の意味があります。
類義語を挙げれば「ルネサンス(再生)」が最も近い用語でしょう。
身体に障害を受けた人などが、再び社会生活に復帰するための、総合的な治療的訓練の他、 身体的な機能回復訓練のみにとどまらず、精神的、職業的な復帰訓練も含まれるのです。
勿論、加齢によって筋力低下してしまい、日常生活に支障が出た場合にも実施し、いつまでも機能を継続させて必要性があるのです。
どのようにリハビリを続ければよいか
一番分かりやすい例として、訪問リハビリや通所リハビリがあります。
これらはリハビリの専門職である、理学療法士や作業療法士が行う場合が多いのですが、生活のなかでも積極的にリハビリを行って、機能低下予防に取り組まなければなりません。
自宅で簡単にできるリハビリをご紹介したサイトをご紹介ます。
公益社団法人東京都理学療法士協会サイト↓
ケアマネジャーに計画を立案してもらう

上記で解説した訪問リハビリや通所リハビリを利用する以外にも、ショートステイやデイケアなどでもリハビリを実施してくれることもあります。
疲労が蓄積しない程度にケアマネジャーにリハビリを実施できるケアプランを入れてもらいましょう。
自立・要支援ならパワーリハビリも検討
マシントレーニングを軽負荷で行い、全身各部の使っていない筋肉を動かすことにより効果が得られます。
よって筋力強化を目的としたトレーニングではありません。
「パワーリハビリテーション」の急速な普及により、「パワーリハビリテーション」を高齢者向けマシントレーニングの総称と思われているケースもありますが、高齢者向けのマシントレーニングには、筋力強化を目的とした手法もあり、パワーリハビリテーションとそれらとは別のモノになります。
条件③家族の負担軽減をする

遠距離でも同居でも、家族がいるのならその家族の精神的・身体的負担を同時に軽減しなければ、在宅復帰をすることは難しいでしょう。
在宅介護を行う家族は、心身共にストレスや疲労を感じていることが多く、それを少しでも解消していく必要があります。
もし、この記事を読まれているのが介護を受けているご本人にであれば、いつも支援してくれている家族に感謝しながらも、介護をする家族にも休養が必要であることを再確認して下さい。
次に、家庭で介護を既に行っている家族、あるいはその予定がある家族がこの記事を読まれているなら「私は大丈夫」「母(父)のためにできることは何でもする」という気持ちだけ持つのではなく「疲れる前に休養を取ろう!」という気持ちになり、一人で抱え込まないようにして下さい。
更に、介護を直接行っていないけど、別の家族が親の介護しているという人であれば、介護が大変であることを理解してあげて下さい。
そしてたまには「最近疲れていない?」「休養を取ることも大切よ」等の言葉を掛けてあげて、休養を積極的に取りやすいようにしましょう。
介護保険サービスは家族ためのものでもある

デイサービスやショートステイなどを利用すると、本人が自宅に居ないこともあります。
そのような時間を利用して、是非休養を取ってください。
特にショートステイであれば、宿泊を伴うため旅行なども可能です。
趣味や好きなこと、自分だけの時間が確保できるように介護保険サービスを積極的に利用しましょう。

