食べることは人間誰しも楽しみです。
高齢になってもそれは変わらず、3食の食事を楽しみにしている人も少なくはないと思います。
介護施設に入所することになると、どのような食事が提供されるのでしょか?
この記事では老人ホームに入所した場合、具体的にどのような食事が提供されるのかを解説していきます。
老人ホームの食事の種類
1.選べる食事(選択食)
一般的に老人ホームでは栄養バランスが考えられた献立を提供していますが、一部の老人ホームでは食事の工夫のひとつとして選択食が採用されています。
例えば・・・
■和食
■洋食
■中華
などのどれにするか?
主菜は肉か魚か?
ご飯かうどんかそばにするか?
栄養士などから事前に希望を聞かれ、利用者が自分の好みや食べたいものに合わせて料理を選べるようになっています。
さらに、毎食ではありませんがバイキング方式を採用して、その場で自分の食べたいものや量を選択できる老人ホームもあります。
あらかじめ決められた献立は栄養バランスや健康面が配慮されているメリットがある一方で、『食』にこだわりのある利用者にとっては食事内容の自由度が下がり、飽きてしまうというデメリットがあります。
自分が食べたい食事を選べる選択食は、老人ホームを選ぶ時の人気ポイントにもなっています。
2.特別な日の食事(行事食)
老人ホームでは、通常の食事以外に時々『食』に関するイベントが行われています。
例えば施設に寿司職人を招き、その場で寿司を握ってもらう催しを開催するケースもあります。
その際は、噛む機能が衰えている人でも食べられるよう、やわらかいシャリにねぎとろを載せるなど工夫があります。
他にも・・・
■居酒屋の雰囲気を出してくれる
■お花見や紅葉の時期は外出でお弁当の提供ある
など、利用者が楽しめるようなイベントが多く開催されています。
また、老人ホームでは1年を通して季節に合わせたイベントを実施し、さまざまな行事食を提供しています。
1月⇒お正月にはおせち料理やお雑煮
2月⇒節分の恵方巻
3月⇒ひなまつりでちらし寿司や菱餅
・・・
12月⇒クリスマスのケーキや年越し蕎麦
などの行事食があります。
1日の大半を施設のなかで過ごす利用者にとっては、食事生活に『飽き』が出ることもあるかもしれません・・・。
しかし、行事食があることで季節を感じたり、普段とは違った特別感が味わえたりと、いつもの食事を楽しみやすくなります。
また、高齢者は運動量が減って体力や食欲が落ちる傾向にあります。
イベント食・行事食を取り入れることで、いつもの部屋でいつもの食事をするのではなく、食事や雰囲気に変化が生まれて食欲が増すこともあります。
イベント食・行事食は単に楽しむものだけはでなく、利用者の生活の質を高める大切な役割を果たしているのです。
老人ホームの食事で工夫されること
1.食事形態の工夫
上記の画像をご覧ください。
白米を例に挙げると段階的に水分を多く含み軟らかいものになっているのが分かります。
これは、嚥下機能(飲み込む機能)やそしゃく機能(噛み砕く機能)が衰えている人に対して、スムーズに摂取して頂くために対応した食事なのです。
老人ホームに入所している人は、80代、90代、100代の方がいらっしゃって、身体機能が低下して支援を必要としている人が多いですが、それは食事面でも同じです。
老人ホームには『栄養士』や『管理栄養士』が在籍しており、栄養のバランスだけでなく、ひとり一人の利用者がスムーズに摂取できるように食事形態を個々にあったものにしてくれるのです。
2.いろどりが良い
みなさんは老人ホームの食事にどんなイメージがありますか?
質素で地味な食事をイメージする人もいるかもしれませんが、実はそんなことはありません。
最近はどの介護施設でも食事に工夫を凝らし、見た目にもこだわっているところが増えているのです。栄養を考えながら『いろどり』のある食事にしたり、美しい盛り付けによって食欲をそそる食事が提供されているのです。
しかしゼリー食など、ペースト状の食材をゲル化剤で固めて提供する介護食においては、形状が画一化しやすいという課題があることも事実です。
少しでも食事を楽しめるよう、主菜が魚の場合は魚の形をした型を使用するなどして、元の見た目に近い形で提供できるよう工夫されています。
介護施設各社の食事を確認していると、「老人ホームの食事は美味しくなさそう」というイメージが変わるかもしれません。
3.地元食材で調理
全ての介護施設がそうだとは言えませんが、地元の食材を使って調理し提供されていることもあります。
海で捕れた新鮮な魚
朝とれた新鮮な野菜
山で採りたてのキノコ
などです。
食事に関しては、業務委託されている老人ホームが多い一方で、地元の人々が調理に携わり食事を提供しているところもあります。
グループホームは要注意?
グループホームにこんなイメージはありませんか?
■軽度の認知症がいて助け合って生活している
■職員を含めて馴染みの関係ができている
■生活空間が狭く、アットホームな雰囲気である
■介護をするというより、職員と『支え合う』雰囲気がある
すべて間違いではありません。
食事に対しても、利用者ができる範囲で一緒に食事を作ることなどもしています。
グループホームの場合、原則施設内で調理をして、適温で食事をして頂く方針をとっている施設が多いのです。しかし、お弁当を依頼したり、外注するとこともあるようです。
施設内で調理をする場合には、何を作るかはその『職員の力量』にかかっています。料理の苦手な若い職員が調理することもあれば、料理の上手な中年の女性が調理することもあります。
よって、味付けや、出来具合によっては差がでることがあるかもしれません。
栄養管理をしてくれる
栄養士の常勤が義務づけられている『介護保険施設』などでは、毎月体重を測定し、痩せすぎていないか、太りすぎていないかを考慮して適切な食事を提供してくれます。
そればかりではなく、持病に合わせた食事も医師と相談して提供してくれるので安心です。
持病に合わせた食事については、こちらが詳しく書かれております。
参考にして下さい。
療養食とは?(概要)
例えば・・・
■糖尿病
■肝臓病
■鉄欠乏性貧血
など特定の疾患をもつ利用者を対象に対して、それに適した療養食を提供します。
提供する療養食は、施設などの独自判断ではなく、必ず医師が発行する食事の食事箋を元に管理することになっています。
食事箋には、必要なエネルギー量や制限が必要な栄養素などの情報が記載されています。
例えば、腎機能が低下している場合タンパク質や塩分を代謝・排泄する際に腎臓に大きな負担がかかるため、腎臓病を患っている利用者には、タンパク質や塩分などを制限した食事の提供が必要です。
管理栄養士や栄養士はこの食事箋をもとに献立を作り、利用者の体の状態や好みなどを考慮することもしています。
体重は栄養状態のバロメーター
老人ホームでは定期的に体重を測り、栄養状態の把握に努めています。
同時に身長の把握し、BMIの数値を算出してその結果をみて栄養士(管理栄養士)がそれに合わせてカロリー計算をしてくれます。
BMIとは、ボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。
子供には別の指数が存在しますが、成人ではBMIが国際的な指標として用いられています。
健康を維持するためは日頃からBMIを把握することが重要です。
BMIについての引用サイト:keisanサービス
褥瘡にはプロテインが有効
まず、褥瘡についてはこちらの記事をご覧いただき、読み進めて頂ければ思います。
この褥瘡の治療にはプロテインがとても有効だとされています。
では、プロテインとはなんでしょうか?
アスリートやボディビルダーがよく飲んでいるアノ商品です。
プロテインはタンパク質であり、食事(肉、魚、豆)から摂取できる栄養素と同じものです。
よって、褥瘡に治療にはタンパク質を効率よく摂取することで改善が期待できるということです。
高齢者がタンパク質(プロテイン)を摂取する方法として、食事にパウダー状のプロテインをまぶして食べるのが一般的ですが、ドリンクタイプのものを摂取してもいいでしょう。
栄養士は、このようなことにも気を配り、医師や看護師と連携し高齢者の栄養管理に努めているのです。