介護のはじまり

過剰介護になってない?家族が行う自立支援につなげるコツは?

自宅(在宅)で介護をすることは容易なことではなく、心身共にストレスが溜まります。

さらに、普段から行っている家族の介護が正しく合っているのか不安になる人もいるのではないでしょうか?

その理由として『在宅介護は孤独』ということがひとつになります。

要するに、困ったときに簡単に聞ける人がいないのです。

もちろん、ケアマネジャー等を頼りにされている人はいるかもしれませんが、実際の介護に対して詳しい資格を持っているとは限りません。

そして、ついつい出来ることも手伝ってしまう過剰介護となることもあるのです。

過剰介護とは

介護のイラスト/無料イラスト・フリー素材2

過剰介護とは、身体的な活動の機会を奪うほど、本人ができることまで介助してしまうことを言います。

活動の機会が減少すると、本人ができていたことさえできなくなってしまったり、残存機能の低下による恐れから精神面に悪影響を及ぼすこともあります。

こうなると、介護者をする人・介護を受ける人の双方にとって望ましい状況ではなくなります。

過剰介護を防止するには、介護を受ける人にある程度できることは、本人にやってもらうことが非常に重要です。

過剰介護が望ましくない理由

老々介護のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

上記で少し触れましたが、本人の残存機能を発揮する機会を奪うことになり、その状態が続くと、身体の機能が低下する『生活不活発病(廃用性症候群)』を引き起こすのです。

例えば、自力で椅子から立ち上がらないでいると、徐々に下肢の筋力が落ちてきて、やがては椅子から立ち上がれなくなってしまうことがあります。

生活不活発病による機能低下で、今まで出来ていたことまでできなくなってしまうのです。

ついついしてしまう過剰介護

介護のプロである介護福祉士等であれば、過剰介護になることを避けて、潜在能力を引き出すような支援をしていますが、在宅介護の場合はなかなか実践が難しくなります。

例えば、時間に追われて自分で履けるはずの靴を履かしてあげたことはありませんでしょうか?

このようなちょっとした行為が、過剰介護の第一歩になるのです。

その他にも

■入浴前後の更衣を家族がしてしまう

■車椅子を後ろから家族が押してしまう

■電気シェーバーで髭剃りを家族がしてしまう

■食事のお手伝いを家族がしてしまう

繰り返しますが、大前提として本人ができるはずなのに、それを家族がしてしまうことを指します。

自立支援とは

自立支援とは、できる限り自分の意思や力で生活ができるようにサポートすること指します。

我が国では、世界規模で見てもとくに高齢者人口が多く、高齢者が高齢者を介護する『老老介護』や『医療費の増大』などが大きな問題となっています。

こうした問題を解決するためには、高齢者だけでなく障がい者も日常生活を送れるような自立支援のサポートが必要なのです。

自立支援の最大の目的は、寝たきりの高齢者や障がい者を減らすことにあります。

寝たきりは、病気やケガなどで体の機能が低下したからなるのではなく、治療のため安静にすることで、日常生活に必要な動作を行わなくなったために、体の機能が低下していることを指します。

高齢者や障がい者の自立に大切なのは、日常生活において自分でできる動きを増やしていくことです。

例えば、高齢者に「ちょっと手伝って」と言われても安易に手を出すのではなく、日常生活において自立するためにはどうすれば良いかを考えなければなりません。

また、介護する側が全て決めてしまい、一方的に意見を押し付けるようなやり方は自立支援とはいえませんので、『自己選択重視』という視点も持つ必要があります。

介護における自立支援では、介護者本人が意思を持って生活できるように、本人が何を望んでいるかを理解し、選択の自由を尊重する必要があります。

更には、選択の自由や自分で行うという意思を奪わないような働きかけも大切な要素なのです。

家族が自立支援を実践するコツ

「ヒント」のマーク

心に余裕を持つ

ちょっとしたことでも、手を出さないためには心に余裕を持つことが必要です。

心に余裕を持つということは、例えば・・・

■時間に追われない介護

■身体的に疲労をなるべく避ける介護

■経済的に不安のない介護

■自分一人で抱え込まない介護

などがあります。

上記のような理由で、介護する人の心に余裕がなくなると、ついつい「早くして!」「なにしているの!」とイライラしてしまい、出来ることまでお手伝いをしてしまうケースがあります。

在宅介護は大変ですが、『心に余裕を持つ』ということを心がけて日頃から支援していきましょう。

介護保険サービスを利用する

要介護1や2のような軽度な介護状態であると、介護保険サービスを利用することを控えることもあります。

特に、家族が仕事や育児をしていない状態であれば、「自分達がしっかり本人を支えないといけない」という気持ちが働いて、頑張りすぎてしまうのです。

頑張りすぎるとやがては疲れ果ててしまいます。

それを未然に防ぐためにも、訪問介護やデイサービスなどスケジュールに入れると頑張りすぎない介護ができると思います。

勿論、家族のリフレッシュのために介護保険サービスを利用しても構いませんので、旅行やレジャー等でリフレッシュすることも大切です。

生活環境を整える

介護を受ける本人がある程度『自立』が出来るような環境を整えることも大切です。

環境とは物理的な側面を指し、具体的には住宅改修や福祉用具の導入の2つを検討しましょう。

①住宅改修

介護保険制度での住宅改修では、自由に何でも改修できるというわけではありません。

「厚生労働大臣が定める居宅介護住宅改修費等の支給に係る住宅改修の種類」「居宅介護住宅改修費及び居宅支援住宅改修費の支給について」という通知に定められた、下記の6つの改修であれば行うことができます。

②福祉用具

福祉用具を利用するには、『貸与(レンタル)』と『購入』があります。

生活しやすい福祉用具を選定するには、専門家からのアドバイスを受けると良いでしょう。

ケアマネジャーを頼りにする

在宅介護をしている人にとって、ケアマネジャーの存在は大きいです。

「もしかしたら過剰介護をしているかも・・・」と感じたら、是非ケアマネジャーに相談してみて下さい。

現在の状況を整理して、将来を見据えたケアプランを提案してくれることでしょう。

本人の理解を得るも事も重要

過剰介護を避けるために様々なことを実践しても、それを本人が納得して受け入れなければ難しい部分もあると思います。

本人からすれば・・・

「それぐらい手伝ってくれてもいいのに」

「なんで手伝ってくれないんだ?」

「こんなに困っているのに」

など感じることもあるでしょう。

過剰介護だと感じて、その方針を180度変更してしまうと、本人は納得いかないばかりか不信感を抱くことになってしまいます。

自立支援を意識した介護を行う前に、必ず過剰介護の意味を説明し納得してもらう必要があることを忘れないでください。

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